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知り合い歌集感想vo.2 ―伊藤夏人さん―
まずお詫び(もはや恒例)
この歌集を頂いたのはたしか三月の事だったと思います。。すみません話題が遅すぎで!

やわらかいと納豆 文庫風の装丁
今回は、伊藤夏人さんの歌集「やわらかいと納豆」からの一首。


 ・前年の気温と比べて少しだけ寒い明日に意味を持たせる  (伊藤夏人)




思えば、「映画など人の事では涙する君を私で泣かせたいのに」(第5回かとちえ短歌教室より)が最初に印象に残った、夏人さんの作品でした。この歌に以前好きだった人の記憶が重なって、以来私はいとなつファンです。


まずこの歌集、代表作が並べてあるだけなのに、全体のまとまり感がすばらしいです。
「鬼は外 あなたは家にいて下さい 今日から僕と暮らして下さい」
「味噌汁に何を入れるか迷ったら僕と一緒にアサリをとろう」

ああ、なんて優しさに溢れているの。こんなプロポーズされてみたい的な。終始「あなた」、「君」へのラブレターのようで爽やか。



さてさて、この歌、
歌集の中でもちょっと奥行きがあります。

「寒い明日」って嫌ですね。夏生まれ&冷え性の私からすると、辛い以外の何ものでもありません。まあここまではいかなくても一般的にネガティブになる「寒い明日」。
それに対して主人公は「意味を持たせる」という決意をしています。決意にも色々あって、人生恋愛だけじゃないですもんねー。学生の彼には明日マラソン大会があって、寒い中なら良いタイムが出せる!と思ってるのかもしれないし、重大な試験があって寒いからより集中して乗り切れるぞ!って思ってるかもしれない。

とにかくそこには決戦前夜の静かに燃える男性の瞳があります。


ただ歌集全体からすると、やっぱり素直に恋愛の歌として読みたい。
そうですね、「寒い明日」に彼は彼女に何をしてあげるのでしょうか。
全く話した事の無い気になる女子に、天気ネタで話しかけるのかもしれないし、
まだ微妙な関係の彼女の、冷え切った手をつないであげるのかもしれないし、
それに乗じてもうちょっと関係を進めることもできるかもしれない。
抱きしめて、彼女の待ちわびているプロポーズしてあげるのかもしれない。


なんてロマンチックな男の決意をさらっと詠ってくれているのでしょうと、女性なら皆惚れ惚れとしてしまうのではないでしょうか。さらに「前年の気温」とか回りクドく(すみません)言っちゃう感じが、インテリっぽい誠実な男性を連想してしまうのでまた好評価です。ミニマムな描写で男の舞台裏をドラマチックに見せてくれています。


これからの気温が下がってゆく季節の中、
この歌を思い出して、明日を少しドラマチックにロマンチックにしてみたいものです。




ちなみにこの歌集の絵と文字は奥様が担当されており、やはりラブラブlove letter歌集だなと思ってしまうのです。ごちそうさまでした!


伊藤夏人さんのblog 
「やわらかいと納豆  KAWARA屋の雨どきどき短歌」
 http://fujiken.mo-blog.jp/itonatto/
     更新頻度高すぎでいつ見てもたのしーです!!
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[2009/10/18 21:21] | 歌集の感想 | トラックバック(0) | コメント(5) | page top
a story of "From NY"
brooklyn bridge

地下鉄をキャナル・ストリート駅で降りて5分程歩けば、そのカフェはある。

NYのチャイナタウンは年々拡大してるというが、広さだけでなく、その中国らしさも深さを増していっているようだ。NYにいるのに本当に中国に来てしまったかと錯覚する街。

看板は漢字の方が多いし、全ての物のプライスも他より安め。チャイニーズ以外には貸さないアパートメントも多いという。まるで治外法権があるようだ。
そうであっても、やはりここはNYなので気軽でモダンなお店も多い。そのカフェもフランチャイズ的な小綺麗さがあった。だからあの時の私達もごく自然に休憩に入った。



1$のエッグタルトを紙袋に入れてカウンターに並ぶ。
ああ、変わらずにTeacoffeeはちゃんとある。


「変なメニュー。紅茶とコーヒーを混ぜてるってことなのかな」
「聞いてみたら。というか頼みなよ」
いつかの私達が隣ではしゃいでる。


知ってるのに、私は尋ねる。
まるで初めて来たツアリストのように。あの日のあなたのように。

中国訛りのきつい英語でお姉さんはぞんざいに答えた。それもまたあの日と同じ。手渡されたカップには、コーヒーの滴があってすでに汚くて、私は小さく苦笑いをした。

Teacoffeeとは、薄いコーヒーに紅茶のティーバッグを入れた形で出される。私はここ以外では見たことが無いメニューだ。味はよく分からないというのが正直なところ。


「意味分からないよね。どっちかで良いと思う」
私達は笑ってそう文句を言いながらも、一つのカップはすぐ空になった。



曖昧な味。

曖昧な街。

曖昧だったお互いの気持ち。

記憶の中のあなたの顔もまた、曖昧になってしまっている。



もう四年も前の事だ。
[2009/10/03 13:58] | at the city | トラックバック(0) | コメント(4) | page top
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