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X'mas企画コラボ with藤野唯

snow


・こんなにも哀しい曲の溢れてるクリスマスイブを抱きしめたくなる




扉を開けた瞬間、「あ、寒い」、と思った。
当然だ。雪が降っている。知ってたけど。
それでも扉を閉めてしまった。
外に出てきてしまった。
アパートの階段を下りる。
ここで待っていればそのうち彼女に会えるかも、とか思ったが、やめておいた。
結局はそんな度胸もない。
みじめになるのを承知で、5分ほど前までいた部屋のあったかさを思った。
5分ほど前、ふいに鳴った携帯をしばらく見つめて、彼はぽつりと言ったのだ。
「江美ごめん、今日は帰ってくれる?」
彼が何を言っているのかすぐにわかった。
というか携帯が鳴ったあたりでもうなんとなくわかっていた。
窓の外を雪がちらついているのも知っていたけど、ちゃんと言うことを聞こうと思った。彼を安心させたかったからだ。
怒らせたくもなかったし、泣きたくもなかった。そもそも今日は、そんな気分でもなかった。
いつも通り遊びに来て、あったまりながら今朝買った雑誌でも読んで、しばらくしたら帰ろうかと思った。彼がよければご飯でも食べて。
そんなに毎日会っているわけではないのに、会いに来た日に限って彼女が来るという。でも別に、それすら珍しくなかった。
私は2番目だから。
それを承知で付き合っているのだからこういうときは大人しくすると決めたのだ。

今目の前にはうっすらと雪が積もり始めていて、なんか私、かわいそうみたいだとふと思った。思って、私はどうしたいんだろうと思い直した。
そしてすこし、苦笑した。

彼の部屋を出ようと玄関に立ったとき、扉の向こうの寒さをすこしだけ感じた。
そして、これからその寒い中を一人で帰る自分のことを思った。
思ったら少しだけ、泣きそうになった。
立ち尽くしている私を不審に思ったのか彼が声を掛けてきた。
「江美」
「うん?」
素直に応える。
「ごめんね」
「いいの」
わがままは言わない。でも、
「宏」
「なに?」
でも。

「今日、私、かわいい?」
不自然なくらい明るい声で振り向いてみる。
そこにはすこし拍子抜けした彼がいる。
「何だよ急に。かわいいよ」
そしてキスをもらう。それでよかった。それで、いいのだ。
そして私は、扉を開けて出てきてしまった。
雪の降っている外に。手を振りながら笑って扉をしめたりして。
でも、いいんだ。
いいんだ。
2番目でも、「来ないで」と言われるのが彼女でなくても、
私といるのが暇つぶしみたいなものでも、
「悪いけど別れてくれる?」とかいつ言われたっておかしくなくても。
今日がこんなに寒くても、雪が降っていても、
たまに褒めてもらえれば、私はそれだけでこんなにうれしい。
さくさく、という自分の足音を聞きながら、なぜか私はスキップでもしてみようとか思っていた。




・雪の中ヒールを履いてスキップで帰れるくらいの褒め言葉を言って


・カシミアのコートの手触り確かめて大切にされてみたくなる冬




                             (絵・短歌 安藤えいみ / ストーリー 藤野唯)






クリスマス企画で、藤野唯ちゃんとのコラボを。初めは「雪の中ヒールを履いて〜」の短歌に、唯ちゃんがストーリーを書いてくれて、それに絵と短歌をもう二首加えました。唯ちゃんお得意の切ないストーリーが、初めの一首の世界観をより深くすてきなものにしてくれました!ありがとう☆
でもでも。こんな恋にはまっては時間がもったいないですよ…はやく幸せにしてくれる人を見つけなきゃ!笑

皆さま、
Have a wonderrrrrful Christmas!!!


藤野唯blog → http://blog.goo.ne.jp/yui_fujino

ハピマウ掲載☆

ハピマウ


いつの間にかクリスマスソングの聞こえる時期になってしまいました。皆さんお元気ですか?私は元気です。


またもや話題が遅いのですが…
先月10月に、加藤千恵師匠が編集長を務める、ハッピーマウンテン5号に掲載されました。師匠、どうも有難うございました!

前号は掛け軸型だったハピマウでしたが、今回はテーマの「遊」を反映して、トランプ型(しかも細長おしゃれトランプ)でまたもや驚かせてくださいました。

30名が一首づつ寄せています。
しかも、ananでせきしろ氏と西加奈子氏が短歌コラムを書かれていますが、そのお二方も参加されいて豪華★



お知り合いでは、岡本雅哉さん、さかいたつろうさん、ウクレレさん、伊藤夏人さん、虫武一俊さん、藤野唯ちゃん、ゆずちゃん、遠藤しなもんさんも掲載されていました!

中でも藤野唯ちゃんの歌は、せきしろさんと西さんにも褒められたようですてきでした!勝手に掲載w
 ・ 君の言うルールで遊んでいる限りいつまでたっても鬼のまんまだ  (藤野唯)
 
 


 ◆ レインボーブリッジにある遊歩道 違う人と違う歩幅で  (安藤えいみ)


               トランプ

知り合い歌集感想vo.2 ―伊藤夏人さん―

まずお詫び(もはや恒例)
この歌集を頂いたのはたしか三月の事だったと思います。。すみません話題が遅すぎで!

やわらかいと納豆 文庫風の装丁
今回は、伊藤夏人さんの歌集「やわらかいと納豆」からの一首。


 ・前年の気温と比べて少しだけ寒い明日に意味を持たせる  (伊藤夏人)




思えば、「映画など人の事では涙する君を私で泣かせたいのに」(第5回かとちえ短歌教室より)が最初に印象に残った、夏人さんの作品でした。この歌に以前好きだった人の記憶が重なって、以来私はいとなつファンです。


まずこの歌集、代表作が並べてあるだけなのに、全体のまとまり感がすばらしいです。
「鬼は外 あなたは家にいて下さい 今日から僕と暮らして下さい」
「味噌汁に何を入れるか迷ったら僕と一緒にアサリをとろう」

ああ、なんて優しさに溢れているの。こんなプロポーズされてみたい的な。終始「あなた」、「君」へのラブレターのようで爽やか。



さてさて、この歌、
歌集の中でもちょっと奥行きがあります。

「寒い明日」って嫌ですね。夏生まれ&冷え性の私からすると、辛い以外の何ものでもありません。まあここまではいかなくても一般的にネガティブになる「寒い明日」。
それに対して主人公は「意味を持たせる」という決意をしています。決意にも色々あって、人生恋愛だけじゃないですもんねー。学生の彼には明日マラソン大会があって、寒い中なら良いタイムが出せる!と思ってるのかもしれないし、重大な試験があって寒いからより集中して乗り切れるぞ!って思ってるかもしれない。

とにかくそこには決戦前夜の静かに燃える男性の瞳があります。


ただ歌集全体からすると、やっぱり素直に恋愛の歌として読みたい。
そうですね、「寒い明日」に彼は彼女に何をしてあげるのでしょうか。
全く話した事の無い気になる女子に、天気ネタで話しかけるのかもしれないし、
まだ微妙な関係の彼女の、冷え切った手をつないであげるのかもしれないし、
それに乗じてもうちょっと関係を進めることもできるかもしれない。
抱きしめて、彼女の待ちわびているプロポーズしてあげるのかもしれない。


なんてロマンチックな男の決意をさらっと詠ってくれているのでしょうと、女性なら皆惚れ惚れとしてしまうのではないでしょうか。さらに「前年の気温」とか回りクドく(すみません)言っちゃう感じが、インテリっぽい誠実な男性を連想してしまうのでまた好評価です。ミニマムな描写で男の舞台裏をドラマチックに見せてくれています。


これからの気温が下がってゆく季節の中、
この歌を思い出して、明日を少しドラマチックにロマンチックにしてみたいものです。




ちなみにこの歌集の絵と文字は奥様が担当されており、やはりラブラブlove letter歌集だなと思ってしまうのです。ごちそうさまでした!


伊藤夏人さんのblog 
「やわらかいと納豆  KAWARA屋の雨どきどき短歌」
 http://fujiken.mo-blog.jp/itonatto/
     更新頻度高すぎでいつ見てもたのしーです!!

a story of "From NY"

brooklyn bridge

地下鉄をキャナル・ストリート駅で降りて5分程歩けば、そのカフェはある。

NYのチャイナタウンは年々拡大してるというが、広さだけでなく、その中国らしさも深さを増していっているようだ。NYにいるのに本当に中国に来てしまったかと錯覚する街。

看板は漢字の方が多いし、全ての物のプライスも他より安め。チャイニーズ以外には貸さないアパートメントも多いという。まるで治外法権があるようだ。
そうであっても、やはりここはNYなので気軽でモダンなお店も多い。そのカフェもフランチャイズ的な小綺麗さがあった。だからあの時の私達もごく自然に休憩に入った。



1$のエッグタルトを紙袋に入れてカウンターに並ぶ。
ああ、変わらずにTeacoffeeはちゃんとある。


「変なメニュー。紅茶とコーヒーを混ぜてるってことなのかな」
「聞いてみたら。というか頼みなよ」
いつかの私達が隣ではしゃいでる。


知ってるのに、私は尋ねる。
まるで初めて来たツアリストのように。あの日のあなたのように。

中国訛りのきつい英語でお姉さんはぞんざいに答えた。それもまたあの日と同じ。手渡されたカップには、コーヒーの滴があってすでに汚くて、私は小さく苦笑いをした。

Teacoffeeとは、薄いコーヒーに紅茶のティーバッグを入れた形で出される。私はここ以外では見たことが無いメニューだ。味はよく分からないというのが正直なところ。


「意味分からないよね。どっちかで良いと思う」
私達は笑ってそう文句を言いながらも、一つのカップはすぐ空になった。



曖昧な味。

曖昧な街。

曖昧だったお互いの気持ち。

記憶の中のあなたの顔もまた、曖昧になってしまっている。



もう四年も前の事だ。

From NY

brooklyn bridge


一枚の写真を撮って三人の男に送るニューヨークから

アメリカに来てます 雪が降ってます あの冬と違うコートを着てます


Brooklyn Bridgeを歩く約束をしたから四年も来れずにいたNY

変わらずにあるなら笑って頼むだろう China TownのTeacoffeeを

君だけに「口癖だね」と言われたね 好きだった言葉 guess what, guess what


あなたまだ覚えていますか アメリカの田舎 桜のたくさん咲く町

思い出で重たくなった頭にはニットの帽子を被って 街へ







今回はすこし雰囲気の違った短歌と木炭画を。
ほんとはこっちの絵っぽいの方がよく描いてます。

NYは交換留学してた時に旅行して、大好きになりました。
(貧乏旅行なので、1泊約2500円の所に泊まったり、夜はカップ麺だったりしたけど)

そのときのイメージを膨らませて。

ちなみにTeacoffeeとは、コーヒーに紅茶のティーバッグを入れた形で出されるもので、味は紅茶なのかコーヒーなのかよく分からないというのが正直な所。香港では一般的なようで、China townで見かけました。
最近のひとこと。
「北海道」
calender
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